THE TREE OF LIFE ~生命の木~

世界日記 (番外編)

   
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リヒテンシュタイン公国スイスとオーストリアに囲まれた、西ヨーロッパの中心部に位置する小国である・・・。
去年の冬、僕はその小国を目指してマンハイムを後にした。

ドイツ国鉄の切符売場(マンハイム中央駅)でリヒテンシュタイン行きの乗車券を購入した僕は、当たり前のように指示された出発ホームへと向かった。
ドイツに住むようになってもう既に一年、ドイツ語を使用するのに何の不自由もなくなっていた。
そもそもここはドイツ連邦共和国、幼い頃からもう何度も来た事のある、言ってみれば僕の第二の故郷みたいなものだ!・・・と思っていた。
国は違えどリヒテンシュタインもドイツ語を公用語とする国家、この僕が一泊二日の小旅行に出るのに一体何の問題が生じようか!・・・そう思っていた。
自信」というのは恐ろしいものだ。
ふと気付いた時には「過信」に姿を変えているのだから・・・。
羽賀研二チンポよりも長くなっていた僕の鼻では、切符売り場のオバサンが乗車券を手渡す時に見せた「不思議そうな表情」など嗅ぎ取れるはずがなかった。

22時21分、僕はフランクフルト行きのECに乗り込んだ。
そこから23時37分発、???行きの夜行列車に乗り換えた。
余裕をカマしてギリギリまで喫煙所でメンソールをフカしていた僕は、予定表に載っていたホームに向かっただけで、その電車が何処行きなのかすら確認していなかった。
二人組みの警官がコンパートメントを力強く開きパスポートの提示を求めてきたのは、その列車が出発してから約4時間が経った頃だっただろう。
驚いたのはその直後だった。
何の問題もなく持ち主のもとに戻ったパスポートには、なんとチェコ入国のスタンプが(国境も越えてないのに)押されていたのだ!
そう、この列車はプラハ行きだった訳だ・・・。
僕は・・・間違った電車に乗ってしまったのだろうか・・・?
流石に焦った僕は、もう一度ちゃんと乗車券と同時に受け取った予定表を見直した。
そうすると、そこには更に驚くべき事実が書かれていたのだ。
チェコとの国境駅までこの電車で行き、そこから更に乗り換えると記されていた。
リヒテンシュタインに行くのに、チェコ方面の列車に乗る・・・?
まぁ、とりあえず僕はその予定表に従って移動する事にした。

Marktredwitzという駅で乗り換え、更にHof中央駅で乗り換えGlauchau駅に向かう途中、またしても二人の私服警官が乗り込んできた。
パスポート・チェックをしながら、彼等は僕に色々な質問を投げかけてきた。
その内の一つに「何処に行くんだ?」という問いがあったので、僕はリヒテンシュタインだと答えると、すかさず「何しに行くんだ?」と尋ねられた。
観光!」・・・、僕がそう答えた瞬間、その場の空気が凍りついた・・・。
時間にすれば僅か数秒だったのだろうが、重苦しくも寒ーい静寂の間が僕を抑え付けた。
そして、つい先程まで無愛想だった二人の警官が一斉に上げた大きな笑い声によって、凍結した空間は瞬時にまた解凍されたのであった。
「この近くにあるのはRichtensteinザクセン州)だぞ!!お前が行きたい観光地はRiechtensteinの方だろう??全くの逆方向だぞ!!しかも、切符までザクセン州Richtenstein行きを買ってしまってるし!!お前、馬鹿な事をしたもんだな!!次すぐに降りて、ニュルンベルク、ミュンヘン経由で戻った方が早いぞ!!それでも大分遠いけどな!!HA!HA!HA!!
彼等はそう爆笑しながら去っていった・・・。
僕は車内で一人、瞳から零れ出る涙を拭いながら己の無能さを思い知った
Richtenstein?!Riechtenstein?!知るかっ!カタカナで書けばどっちもリヒテンシュタインやろうが!!引き返せ?!アホか?!ここまで来たんや、ドイツ(ザクセン州)のリヒテンシュタインも観光してったる!!」
・・・僕はそう決意した。

 リヒテンシュタイン
↑ドイツ(ザクセン州)のリヒテンシュタイン(Richtenstein)

田舎を絵に描いたような何もない風景を眺めながら、戻りの電車が来るまでの一時間をショボイ駅のベンチで過ごした・・・。
無駄な時間を費やし、無駄な体力と金を消費し、無駄な場所に辿り着いた・・・。
何故気付かなかったのだろう・・・。
スイス方向なのだから、マンハイムからフランクフルトに向かった時点でおかしかったのに・・・。
脱力感・・・絶望感・・・、自分自身への怒り・・・。
しかし僕は、頑張ってその日の内にRiechtensteinに向かった・・・。

はぁぁぁ
はぁぁぁ・・・
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